冷凍熊肉でカレーを作ってみた

今回、熊のすね肉と少量の熊のバラ肉を使ってカレーを作った。
使った熊肉は冷凍保存してあったもの。
ジビエは一頭丸ごと処理されることが多く、
家庭で扱う肉の多くは冷凍状態になる。
つまり熊肉料理は、解凍の時点からすでに調理が始まっている。
まずバラ肉について。
脂と赤身が意外とさっぱりしており、カレーに入れても重くならない。
熊肉特有のクセも感じにくく、普通に「美味しい」と思えた。
一方で、すね肉はまったく違う結果になった。
「煮込み向き」という言葉を誤解していた
事前に調べると、
熊のすね肉は赤身が多く、煮込み料理に向いている
という情報が多く出てくる。
それを信じて、1cm角ほどに切り、特別な下処理をせず鍋で煮込んだ。
結果は惨敗。
- 噛み切れない
- 飲み込めない
- 関節付近と思われる部位はゴムのよう
「これは上手くできた」とはとても言えない出来だった。
熊のすね肉は“工程を選ぶ肉”だった
改めて調べ直して分かったことは、
熊のすね肉は、
- 運動量が多く筋が非常に発達している
- コラーゲン量が多い
- 下処理と温度管理を間違えると一切柔らかくならない
という、かなりシビアな部位だということ。
「煮込み向き」という言葉の裏には、
正しい工程を踏めば、という条件付きだった。
学んだこと① 冷凍熊すね肉の解凍と下処理がすべての出発点
熊肉は冷凍で扱うことがほとんど。
だからこそ、解凍の仕方=下処理と考えた方がいい。
やってはいけない解凍
- 常温放置
- 電子レンジ解凍
- ぬるま湯解凍
これらはドリップが大量に出て、
臭みと硬さの原因になる。
正しい解凍手順
冷蔵庫でゆっくり解凍
- 冷凍庫 → 冷蔵庫(0〜4℃)
- 半日〜1日かける
完全に解凍せず、
芯が少し凍っている状態が理想。
ドリップ処理
- 出てきた赤黒い液体は必ず捨てる
- 流水で軽く洗う
- キッチンペーパーで水気を拭き取る
ここをサボると、その後の工程がすべて台無しになる。
すね肉専用の下処理
血抜き・浸漬
- 水 または 牛乳
- 半日〜一晩浸ける
- 途中で1〜2回水替え
臭みを抜き、繊維を緩めるための必須工程。
軽い下茹で
- 水から火にかけ
- 沸騰直前で止める
- 表面が白くなればOK
アクを取り、湯は捨てる。
学んだこと② 熊のすね肉を柔らかくする「低温」という考え方
熊のすね肉を柔らかくする鍵は、
85〜90℃を長時間キープすること。
スロークッカーの低温とは
- LOW設定:約85〜90℃
- 沸騰しない温度帯
この温度で6〜8時間放置することで、
筋肉を壊さず、コラーゲンだけがゼラチン化する。
低温調理対応の圧力鍋も使える
家にある低温調理モード付きの圧力鍋も有効。
- 温度:85〜90℃
- 時間:6〜8時間
- 圧力:かけない
圧力鍋=圧をかけるもの、ではなく
温度管理ができる鍋として使う。
学んだこと③ 香味野菜と酸味は“柔らかさの補助輪”
煮込み時は以下を必ず入れる。
- 玉ねぎ・人参・セロリ
- にんにく
- 赤ワイン(またはトマト)
酸味は臭み消しだけでなく、
肉の繊維をほぐす役割もある。
熊すね肉の煮込み・共通ベース
- 熊すね肉(下処理済)
- 香味野菜
- 赤ワイン(肉が半分浸かる程度)
- 水またはブイヨン(ひたひた)
- ローリエ、タイム
- 塩は控えめ
ここまで整えてから、
低温調理に入る。
カレーにする場合の正解工程
なぜ肉と煮汁を分けるのか
スパイスやルーを早く入れると、
- 肉が柔らかくなる前に煮込みが終わる
- 油脂と小麦粉が邪魔をする
まずは肉を完成させるのが先。
正しいカレーフロー
- 熊肉を箸でほぐれるまで柔らかくする
- 熊肉と煮汁(香味野菜込み)を分ける
- 煮汁をベースにカレーを作る
- ルーを溶かす
- 最後に熊肉を戻し、5〜10分温める
煮込むのではなく、温め直すだけ。
失敗したからこそ分かったこと
今回のカレーは成功とは言えなかった。
しかし、
- 冷凍肉は解凍から勝負が始まっている
- 熊のすね肉は低温と時間がすべて
- 工程を守れば必ず応えてくれる
という確かな学びがあった。
次は、
低温85℃・長時間・最後に肉を戻す
このルートで、もう一度熊のすね肉カレーに挑戦したい。
ジビエは難しい。
でも、ちゃんと向き合うと面白い。
また一つ、経験値が増えた一日だった。
ここまで書けていれば、
✔ 初心者にも伝わる
✔ 失敗談としても価値がある
✔ 次回の「成功編」につながる
完成度です。
次は
「低温調理で成功した熊すね肉カレー編」
書きますか?

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