今日は二人猟。先輩猟師の車に乗せてもらい、市内の山を広く回りながら痕跡を辿る一日だった。
要所要所で車を停めては、「ここはよく食(は)んでいる場所だ」と教えてもらい、少しだけ歩いて狩場の様子を確認する。それを何度も繰り返す。
“当たればラッキー”くらいの軽やかさだが、実際は地形・植生・過去の痕跡を総合的に見た上での判断だ。短い散策の積み重ねが、大きな経験値になっていく。
今日の学び① 雪上の痕跡で見る「鹿」と「猪」の違い
積雪期の山は、動物たちの行動がそのまま白いキャンバスに刻まれる。今日は特に、イノシシとニホンジカの痕跡の違いについて学びがあった。
■ イノシシの痕跡
雪が深くなると、足の短いイノシシは腹を擦りながら進む。
そのため、足跡だけでなく“溝”のような跡が残る。さらに、腹についた泥が雪面にこすりつけられ、溝の部分が土色に染まることもある。
つまり、
- 足跡+腹擦れの溝
- 溝部分に土が付着
この二点が大きな特徴だ。

イノシシの痕跡↓
■ ニホンジカの痕跡
一方で鹿は足が長い。
同じ積雪量でも腹を擦りにくく、足跡は比較的きれいに残る。加えて歩幅がやや広い印象を受ける。
傾斜地に入るポイントでは、豪快にジャンプした跡が残っていることもある。雪面に刻まれた跳躍の痕跡は、鹿の身体能力の高さを物語っていた。
同じ“蹄の動物”でも、雪が深くなることで違いがより鮮明になる。積雪期ならではの観察ポイントだと感じた。
今日の学び② 爆竹・ロケット花火という手法
もう一つ印象的だったのが、疑似的な発砲音を使って獣を動かす方法だ。
爆竹やロケット花火を使い、藪や寝屋に潜む個体を意図的に動かす。
確かに理屈は分かる。
寝ているイノシシなどを“強制的に立たせる”ことができれば、位置を把握しやすくなる。
ただ、いくつか気になる点もある。
- 爆竹は残骸を回収できるが、ロケット花火は回収が難しい
- 雪が少ない時期は山火事のリスクがある
- 音の反響によって、獣が予想外の方向へ逃げることがある
特に興味深かったのは「音の方向」に関する話だ。
右へ追いたいから左に投げる――理屈ではそうなる。しかし実際には、音の鳴っている方向へ逃げることもあるという。
一見おかしいが、山の地形による反響で、獣が感じ取る“音の位置”が人間の認識とズレているのかもしれない。そう考えると、むやみにロケット花火を使うより、自分の目の届く範囲で爆竹を鳴らし、確実に回収して帰る方が望ましいようにも思えた。
有効性と難しさのあいだで
一人猟や獲物の誘導には、確かに有効になり得る手法だと思う。
しかし同時に、使い方の難しさや環境への影響も無視できない。
狩猟は単に「獲る技術」ではなく、
自然との距離感や責任の取り方を常に問われる営みだと、改めて感じさせられた一日だった。
雪上の溝ひとつ、音の反響ひとつ。
山は静かだが、学びは尽きない。

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