先日、4人であんこ巻きをして猪を3匹仕留めた。
- 成獣のメス1頭(100キロ級)
- 子どものメス2頭(ウリボーではないが約30キロ)
上手くいった狩りだった。
しかし本当の問題は「その後」だった。
車まで遠い…その日の判断
搬送に時間がかかり、現地で内臓を摘出。
腹の中に雪を詰め、体が見えなくなるまで雪をかぶせ踏み固めた。
「雪山に埋めて保存を効かせ、3日後に取りに来よう」
雪=冷たい=保存できる
その場では自然な発想に思えた。
しかし帰宅後、グループLINEが少し荒れた。
- 「3日後は腐るぞ」
- 「2日ならギリギリ」
- 「経験上3日でも大丈夫」
意見が割れた。
雪は冷蔵庫か?それとも断熱材か?
自分なりに調べてみた。
雪に埋めるという行為は、一見「氷で閉じ込める」ように思える。
冷やせば腐敗は遅れる。これは間違いない。
しかし、雪山遭難でかまくらを作って寒さをしのぐ話があるように、
雪は風を遮断し、実は高い断熱効果を持つ。
つまり、
雪で埋めて踏み固める=冷却ではなく“保温”になる可能性
獲れたばかりの猪はまだ体温が残っている。
中心部まで急速に冷えているとは言い難い。
その状態で断熱されるとどうなるか。
- 中心温度がゆっくり下がる
- 通気性がない
- 湿度が高い
- 雑菌が繁殖しやすい
理屈としてはこちらのほうが腑に落ちた。
自分の中では、
最低でも翌日中には掘り出して解体すべき
という結論になった。
しかし現実は「経験則」
疲労もある中、自分は翌日解体を進言した。
しかし「経験上大丈夫」という意見に押し切られ、3日後に掘り起こすことになった。
そして3日後。
子ども2頭は前日に掘り起こし、風通しの良い場所で吊るしてあった。
100キロ級の親を掘り返す。
見た目には腐敗の兆候はない。
異臭も感じない。
「大丈夫そうだな」
そのまま通常通り解体。
山から下ろすのに時間がかかり、脂肪に血が少し回ってピンクを帯びていたが、大きな問題はなさそうに見えた。
それにしても量がすごい。
持ち帰るとセカンド冷凍庫を使う羽目になった。
見えない腐敗という問題
しかし、ここで改めて考える。
腐敗は必ずしも
- 異臭
- 変色
- 粘り
としてすぐ現れるわけではない。
低温でも微生物はゆっくり増殖する。
特に内臓処理後の腹腔内はリスクが高い。
今回は自家消費。
だが、もしこれが販売目的なら食品衛生法上通らない可能性が高いだろう。
だから今回は「よく焼いて食べる」ことにした。
ジビエは自己責任の世界だ。
狩猟スケジュールの問題
今回一番考えさせられたのはここだ。
- 翌日仕事
- 夕方ギリギリまで狩り
- 想定外に獲れてしまう
そして保存を自然任せにする。
これは無責任ではないか?
理想は、
- 翌日も休みを確保する
- もしくは午前中のみ狩りにする
- 処理時間を逆算して行動する
狩猟は「獲ること」よりも
「安全に処理し切ること」までが責任だと感じた。
経験則と科学の間で
高齢ハンターの経験は重い。
しかし、
昔大丈夫だった=今も安全
とは限らない。
現代は
- 食中毒リスクの科学的知見
- 微生物の増殖温度帯のデータ
- HACCPの概念
がある。
どちらかを盲信するのではなく、
- 経験を尊重し
- 科学的根拠も踏まえ
- 自分で考えて判断する
その姿勢が必要だと学んだ。
今回の学び
- 雪中保存は万能ではない
- 断熱効果を理解するべき
- 可能なら24時間以内の解体が理想
- スケジュール設計も狩猟技術の一部
大量に獲れた喜びの裏には、
「命を無駄にしない責任」がある。
自己責任の世界だからこそ、
自分が納得できる形で肉を消費したい。
今回の経験は、自分の狩猟観を一段深めてくれた。

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