🪶【導入文】
朝は冷え込みが残る静かな山。
今日は都合がついて、1ラウンドだけ巻狩りに参加させてもらった。
短時間とはいえ、山に入ると気持ちは自然と引き締まる。
📖【本文】
今日の猟場は、北側に高速道路、西側に川が走り、
北から南に2本の谷が縦に入った、数字の「3」を右に90度回転させたような地形。
北側に3人が待ちにつき、
僕を含めた2人の勢子が南側から攻める巻狩りの配置だった。
南側の舗装道路から山に入る。
登り始めの地点で、猪がはんだ跡が一箇所。
「裏の茂みに寝てるかもしれんから見てきて。いたら撃ってもいいよ」
…簡単に言うけど、これが結構ドキドキする。
足跡は至るところにあったけど、その場所には姿はなし。
気を取り直して、本隊の巻狩りへ合流した。
尾根沿いは道が整備されていて歩きやすいが、
そこは完全に獣道。
猪や鹿の足跡がびっしり残っていた。
途中、北側の谷へ逸れる足跡を追うことに。
ベテラン猟師は、背丈ほどある竹藪の中を軽々と進んでいく。
「え、こんなとこ行く?」と思うような場所を、
しばらく黙々と進む。
途中で二手に分かれ、私は一人で竹藪へ。
正直、かなり心細い。
地形アプリのGPSと周囲の地形を照らし合わせ、
現在地と進行方向を何度も確認しながら進んだ。
待ちの位置まで残り3分の1ほどのところで、
無線から「もう着いた」の声。
早すぎる……。
結局、そちら側には獲物はおらず、
巻くことはできなかったらしい。
その直後、
等高線沿いを東から西へ横切る、猪らしき足跡を発見。
無線で報告すると「それ追ってみて」との指示。
追跡していくと、途中で崖崩れ。
積雪と一緒に足跡は消え、
それ以上は進めなくなってしまった。
諦めて下山することに。
川まで降りると、対岸には市道と車。
猟師仲間がこちらに手を振っている。
橋は上流と下流側に離れてあり、
川を渡れば大きくショートカットできそうだが、
落差は約2.5m、川幅は4mほど。
「橋から回ったほうがいい」と声をかけられたが、
ちょうど20mロープを持っていた。
いずれ急斜面や沢で使う場面も出てくるだろう。
経験だと思い、ロープを使って渡ることにした。
降りるときは、近くの木にロープを回して懸垂下降。
水深は15cmほどだったが流れがあり、
気を抜くと足を取られそうになる。
川の流れ、なかなか侮れない。
登りは、対岸の猟師が支柱になってロープを保持してくれ、
引き上げてもらった。
正直、1人だったら厳しかったと思う。
全身を使ってなんとか渡り切った。
今回の猟は獲物には出会えなかったが、
険しい薮の歩き方、
ロープワーク、
地形の攻め方など、学ぶことは多かった。
基本は、
尾根から谷へ獲物を追い下ろし、
待ちが仕留める流れ。
ただ、山の地形は一つとして同じものはない。
その場その場で作戦を組み立てられるよう、
もっと鍛錬と経験を積まないといけない。
そう強く感じた一日だった。
🌿【締めの一言】
獲れなくても、山はちゃんと課題をくれる。
次は、もう一段レベルを上げた動きができるようになりたい。

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