🪶【導入文】
朝から冷え込んでいる。
猟場にはうっすらと雪が積もり、前日からさらに数センチ増えたようだった。
今日は二ラウンド。獲れるかどうか以上に、学ぶことが多くなりそうな予感がして山に入った。
📖【本文】
一ラウンド目は、最初は三人だけ。
本格的な狩りというより、猟場の確認と獣の足跡を探すところから始まった。
林道が尾根になっていて、途中で車を止め、谷の川沿いを歩く。
獣の渡りや、巻き狩りの「待ち」に入るための目印を一つひとつ確認していく。
地元の人でないと分からないような、木や地形が目標物になっているのが印象的だった。
途中でベテラン猟師が合流し、急きょその山で巻き狩りをする流れに。
歩きながら、獣の見方をいろいろ教えてもらった。
「この辺には多分いないな」
そう言って、急に引き返し始めた理由は“はんだ後”。
獣が雪の下の餌を掘った跡で、新しいものがあれば、その近くの日当たりの良い場所に寝屋があることが多いらしい。
今回はその形跡が見当たらなかった。
前日に別の人が猪の痕跡を見たという山へ移動。
谷側の待ちと無線で連絡を取りながら、声を出したり爆竹を鳴らしたりしたが、反応はなく一ラウンド目終了となった。
二ラウンド目は、さらにベテラン猟師が合流し五人編成。
作戦を立てて配置に向かっていると、無線で「猪を見つけて追っている」と連絡が入る。
指示されて三叉路で待っていると、藪の中で何かが動いた。
確信が持てず、銃を構えて慎重に近づく。
すると、やはり猪。それも複数頭だった。
配置が悪く、最初に一人が一発。
続けて僕も三発撃った。
一頭はその場で絶命したようだったが、もう一頭は半矢のまま逃げていった。
その追跡役を任されたのが、一番若い僕。
雪もあり、すぐ追いつけると思ったが、猪は驚くほどの距離を逃げていく。
足跡は半矢の猪だけでなく、三、四頭分はあった。
無線で状況を伝え、電波が入ったので位置をLINEで送りながら追ったが、他の猟師は圏外で見られなかったらしい。
別の山に入ったら引き上げろ、という指示を受け、境の谷まで追ってから断念した。
疲れて座り込み、休憩していると、尾根の方にカモシカが一匹立っていた。
こちらを警戒する様子もなく、ただ静かに。
カモシカは「がべ」と呼ぶらしい。理由は分からないけど、猟師の言葉は覚えておこうと思った。
雪山と木々、その中にぽつんと立つカモシカ。
非日常そのものの景色で、不思議と気分がよかった。
たぶん僕は、海より山が好きなんだと思う。
その後、無線で位置の認識が食い違っていることが分かり、大声を出して合流。
ほぼ崖のような斜面を登り、無事に猟師仲間と合流した。
山の目印や、この山での行動範囲を教えてもらい、この日の猟は終了。
獲れた猪は近くの用水で内臓を抜き、解体は翌日に回すことにした。
解体はベテラン二人が担当。
僕は見学だったが、その手際の良さは本当に勉強になった。
心臓と肝臓を分けてもらい、肝臓は教わった通り牛乳に漬けて下処理。
冷蔵庫に入れながら、何を作ろうかと考える。
🌿【締めの一言】
獲物も取れて、よく歩き、自然をたっぷり感じた一日。
体力も経験値も、確実に積み上がった猟になったと思う。

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