はじめに
先日いただいた熊の分け前。その中でも特に楽しみにしていた「背ロース」をついに実食しました。猟師仲間から“刺しもしゃぶしゃぶも最高”と聞いていたので、友人家族を招いて熊刺し&熊しゃぶパーティーを開催。解凍から調理、そして気になる味まで、私の率直な体験をまとめます。
出猟後のご褒美時間:熊背ロースの準備
今回の主役は、先日の出猟で仕留めた熊の「背ロース」。
かなり大きな塊で冷凍してあり、とても一家庭では食べ切れそうにないボリューム。そこで、友人家族を呼んで“熊パーティー”をすることにしました。
前日の夜、冷凍庫から冷蔵室へ移し替えて自然解凍へ。
「ちょうどいい頃だろう」と思って取り出してみると…思った以上に溶けてる。
「これは薄く切れんぞ…」と包丁を入れた瞬間、熊脂の実力を痛感。
体温でどんどん溶けていき、包丁が滑る、切りづらい、手もヌルヌル。
「熊の脂すげぇ…」と言いながら悪戦苦闘しつつ、なんとか皿に並べて冷蔵庫へ。

熊刺しの実食…!勇気ある挑戦者は2名
まずは、最も気になる“熊刺し”。
ただ、これは安全面でしっかり理解しておくべきことがあります👇
❗熊肉を生で大量に食べるのが危険な理由(正しい知識)
- 熊肉には トリヒナ(旋毛虫) という寄生虫が存在することがある
- 生や加熱不十分だと 激しい食中毒 を起こす可能性
- 長期冷凍(-20℃以下で数週間)により死滅するが、確実ではないとされる
- 解体時、白いアニサキスのような寄生虫が実際に見られた
- 猟師の間では「刺身は少量」「自己責任」が基本の文化
※今回は長期冷凍していたこと、薄くスライスして目視確認できる状態で提供しましたが、一般の方は熊刺しは推奨しません。
実際に食べたのは…勇者2名
「明日お腹壊してもいい人!」という謎の掛け声でスタートし、挑戦するのは私を含む2人だけ。
ひと口食べてみると…
👉 脂がサラサラで全くしつこくない
👉 噛めば噛むほど旨味が溢れる
👉 クセがほとんどなく、驚くほど上品
友人も「うまっ!」を連発しながら5切れほど食べていました。
ただし、猟師さんの教えでは
「刺身は1人3枚まで」
食べ過ぎると吐いたり下したりする人もいるそうです(熊の生命力のせいだとか…)。
さらに寄生虫の話を聞いた友人は、スマホで調べまくって震えていました(笑)。
熊しゃぶは安全で大当たり!だし汁・ポン酢との相性最高
本番はここから。
しゃぶしゃぶ用に薄く切った背ロースを、だし汁にサッとくぐらせてポン酢でいただきます。
食べ頃は…
- 赤身がうっすら白くなる
- 脂の角が溶けて丸くなる
これがベスト。
🔥食べてみると…
- ポン酢と熊肉のサッパリ脂が驚くほど合う
- クセや臭みは一切なし
- だし汁にアクが出なくてビックリ(鹿・イノシシとは全然違う)
- 白髪ネギを巻くと旨味が倍増
全員が「これはうまい」と絶賛。刺身より評価が高かったです。
試しに焼いてみたが…
焼き+塩で軽く食べてみたものの…
「うまい…けど、しゃぶしゃぶと刺身が強すぎて霞む!」
という結果に。
背ロースは脂の質が良いので、火を通す料理よりレア〜ミディアムが合うタイプなのかもしれません。
まとめ:自分で獲った熊を仲間と味わう、最高の時間
今回の食事で強く感じたのは、
“自分で獲った命を、仲間と囲んで味わうありがたさ”
ということ。
猟師としての喜びを噛み締めながら、熊肉の奥深さもまた一つ知ることができた夜でした。
これからの猟でも、もっと丁寧に、そして安全に扱っていきたいと思います。
使用した道具・準備まとめ
- 熊背ロース(長期冷凍)
- 包丁(薄切り用)
- だし汁用鍋
- ポン酢
- 白髪ネギ
- 調理用まな板・冷蔵庫
注意書き
熊刺しは寄生虫(トリヒナ)による食中毒のリスクがあり、一般の方の生食は推奨されません。
同じ条件でも安全性が変わるため、必ず自己責任の範囲で、安全な加熱調理を前提にお楽しみください。

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