狩猟について勉強していると、鳥獣を捕まえることだけでなく、法律上の「捕獲等」という言葉や、発砲した後の責任、わなにかかった動物への対応など、さまざまな知識が必要になることが分かります。
今回は、狩猟のテキストで学んだ「捕獲等の定義」「半矢」「追い出し猟」「止めさし」について、僕自身の感想や考えも交えながら整理していきます。
捕獲等の定義とは?
鳥獣を撃ち、実際に仕留めて手に入れた場合は、誰が考えても鳥獣を捕獲したことになります。
しかし、法律上の「捕獲等」は、実際に鳥獣を手に入れた場合だけを指すわけではありません。
例えば、鳥獣を撃って負傷させたものの、逃げられてしまった場合です。このような状態は「半矢」と呼ばれ、実際に捕獲できていなくても、捕獲等に該当する場合があります。
また、捕獲するための行為を行い、鳥獣を捕獲し得る可能性を生じさせた場合も、捕獲等に含まれるとされています。
鳥獣の殺傷や鳥類の卵の損傷は、鳥獣を捕獲する行為と同じように、鳥獣に大きな影響を与える可能性があります。そのため、鳥獣の捕獲や卵の採取と同様に規制されています。
鳥獣保護管理法では、鳥獣や鳥類の卵について、捕獲等や採取等を原則として禁止しています。ただし、狩猟制度に基づく捕獲や、許可を受けた捕獲などは例外とされています。
半矢とは?
「半矢」とは、狩猟などで鳥獣を負傷させたものの、仕留めることができず逃してしまった状態を指します。
一般的に、鳥獣を捕獲するという行為は、最終的に鳥獣を手に入れられなかったとしても、捕獲する方法を実施し、捕獲し得る可能性を生じさせた時点で、法律上の「捕獲等」に該当する場合があります。
僕自身、「半矢」という言葉は、狩猟の勉強をするまでは聞いたことがありませんでした。
言葉の由来を調べてみると、文字どおり「矢が半ばまでしか刺さっていない状態」という意味で、昔の弓矢を使用した狩猟や合戦の様子に由来するともいわれているようです。
半矢にすることの危険性
半矢は、単に獲物を逃してしまったというだけの問題ではありません。負傷した鳥獣がその後どうなるのか、周囲にどのような影響を与えるのかを考える必要があります。
例えば、負傷して動けなくなった鳥獣を別の動物が食べることで、鉛弾などに由来する鉛中毒が発生する可能性があります。
また、クマなどの大型動物を半矢の状態で逃してしまった場合、負傷や恐怖によって警戒心や攻撃性が高まった個体が、別の猟師や一般の人と接触し、事故につながる危険性もあります。
実際に、負傷したクマがその後に人を襲い、深刻な被害につながった事例もあると学びました。
そのため、狩猟者には、できる限り確実に仕留めるための技術や知識が求められます。そして、発砲した鳥獣に対して最後まで責任を持つという意識が非常に大切なのだと思います。
狩猟は、引き金を引いた瞬間に終わるものではありません。発砲した後に鳥獣がどうなったのかを確認し、必要な対応を取るところまでが狩猟者の責任だと感じました。
追い出し猟は違法になる場合がある
狩猟について学ぶ中で、「追い出し猟」に関する規定も知りました。
狩猟鳥獣を、狩猟が禁止されている鳥獣保護区などから狩猟可能な区域へ追い出して捕獲する行為は、違法となります。
反対に、狩猟可能な区域にいた鳥獣を鳥獣保護区などへ追い込み、その区域に逃げ込んだ鳥獣を狩猟することも、違法な行為に該当します。
つまり、鳥獣がどこにいるのかだけでなく、どのような行為によってその場所に移動したのかという点も、法律上重要になるということです。
鳥の習性を利用することとの境界
この追い出し猟について、僕は少しグレーなのではないかと感じる方法を聞いたことがあります。
近所の潟には、狩猟可能なカモ類が多く集まる場所があります。早朝にそこへ行き、大声を出したり石を投げたりして、カモを飛び立たせることで、狩猟可能な池へ誘導するという方法です。
カモが逃げた場合に、どの池へ移動する可能性が高いのか。その習性を利用するという意味では、猟師の経験や知恵の一つなのかもしれません。
近所の池はかなり広く、カモの警戒心も強いそうです。そのため、ただ待っているだけでは、なかなか捕獲することが難しい場面もあるのだと思います。
しかし、鳥獣を意図的に狩猟可能区域へ追い出して捕獲する行為は、法律上の問題が生じる可能性があります。
鳥獣の習性を理解することと、禁止区域から狩猟区域へ意図的に追い出すことは、分けて考えなければなりません。
狩猟者として経験や知識を活用することは大切ですが、法律の範囲内で行うことが大前提です。
止めさしとは?
「止めさし」とは、一般的に、網やわなにかかった鳥獣を確実に仕留めるために、銃器や刃物などを使用してとどめを刺すことをいいます。
地域によっては、「止め矢」と呼ばれることもあるそうです。
わなにかかった動物が完全に動きを止めているとは限りません。特に、イノシシやクマなどの獰猛な鳥獣がわなにかかった場合には、捕獲者の生命や身体に危害を及ぼす危険性があります。
そのような状況では、安全を確保しながら、できる限り動物に苦痛を与えない方法で対応することが重要になります
止めさしに対する世間の反応と、狩猟を発信する意味
止めさしについては、SNSで狩猟の様子を発信している方の投稿を見ることがあります。
僕自身、狩猟に興味があり、素早く刃物でバイタルを突いて放血し、止めさしを行う様子を、勉強の一環として見ることがあります。
しかし、そうした動画のコメント欄を見ると、「かわいそう」「こんな動画を投稿するな」といった意見が寄せられ、炎上している場面もしばしば見受けられます。
もちろん、動物が傷つく映像を見たくない人がいることは理解できます。そういう方は、無理に見ずに避ければよいのではないかと僕は思っています。
一方で、動画を投稿する側も、冒頭に「これから止めさしの映像が流れます」と注意書きを入れるなど、視聴者への配慮をしている場合があります。
どちらの立場にも、それぞれの考え方があるのだと思います。
僕自身の肌感覚では、まだまだ「狩猟をする」ということが世間に十分浸透していないように感じます。また、ジビエに対して「臭いのではないか」というイメージも、以前の僕自身がそう思っていたように、世間にはまだ残っているのではないでしょうか。
もちろん、処理方法や保存状態などによって肉の状態が変わるため、すべてのジビエが臭いわけではありません。狩猟や食肉処理について学ぶことで、これまで知らなかったことも少しずつ分かってきました。
そんな、まだ一般的には少数派ともいえる狩猟の世界に身を投じたからこそ、僕がこの世界で感じた新しい発見や、これまで知らなかった知識については、これからも発信していきたいと思っています。
狩猟に対してさまざまな意見があることは当然です。だからこそ、狩猟をしている側の考え方や、命をいただくまでにどのような責任や作業があるのかを、少しでも知ってもらうきっかけになればと思います。
銃器による止めさしの条件
銃器を使用した止めさしについては、どのような場合でも自由に行えるわけではありません。
テキストでは、一定の条件を満たす場合に、鳥獣保護管理法における捕獲等の範囲内で行われるものとして、次のような要件が示されていました。
- わなにかかった鳥獣の動きを確実に固定できない場合であること
- 鳥獣が獰猛で、捕獲等をする人の生命や身体に危害を及ぼすおそれがあること
- わなを仕掛けた狩猟者などの同意に基づいて行われること
- 銃器の使用に当たって、安全性が確保されていること
特に注意が必要なのは、他人が仕掛けたわなにかかった鳥獣を、わなを仕掛けた人の同意なく撃つことです。
他人のわなにかかった鳥獣だからといって、自由に銃器を使用してよいわけではありません。所有者などの同意や、法令上の条件を確認する必要があります。
また、銃器を使用する場合には、跳弾などによる事故にも十分注意しなければなりません。動物だけでなく、周囲の人や建物、道路などの安全も考慮する必要があります。
猟銃の所持許可の目的と止めさし
銃刀法に基づく猟銃の所持許可は、どのような目的でも取得できるわけではありません。
一般的には、狩猟、有害鳥獣駆除、指定管理鳥獣捕獲等事業、標的射撃など、許可された目的の範囲内で使用する必要があります。
所持許可を受けた目的以外で銃を発射すると、発射制限に関する違反となる可能性があります。
僕の場合、猟銃の所持許可の目的は「標的射撃」と「狩猟」になっています。そのため、依頼を受けた場合であっても、猟期や捕獲対象、場所、方法などの条件を満たしている必要があります。
例えば、クレー射撃をするために「標的射撃」のみを目的として所持許可を受けている人は、標的射撃の許可だけを根拠に、狩猟や止めさしを行えるわけではありません。
また、猟期以外に止めさしを行う場合には、有害鳥獣捕獲などの適切な目的や許可が必要になる場合があります。
このあたりは、狩猟免許を持っていることと、銃器を使用できることが同じではないという点にもつながります。
実際に止めさしを依頼された場合は、狩猟者登録の状況、猟期、捕獲許可、所持許可の目的、使用する場所などを確認し、関係法令に適合しているか判断することが重要です。
電気止めさし器という方法
止めさしには、銃器や刃物以外にも、バッテリーなどの電源を利用した電気止めさし器が使用される場合があります。
電気を利用して動物の動きを止める器具ですが、使用する際には感電事故などへの注意が必要です。
また、電気止めさし器が使用できるかどうかは、対象となる鳥獣や状況、地域のルール、その他の関係法令などを確認する必要があります。単に器具自体が禁止猟法に該当しないという理由だけで、どのような状況でも使用できるわけではありません。
食肉にする場合の止めさしについて考える
僕自身は、基本的に捕獲した鳥獣を食肉にしたいという目的で狩猟をしています。そのため、これまでは刃物を使用して血を抜く方法を基本に考えていました。
電気止めさし器については、実際に使用した経験はありません。
電気を利用して動きを止めることができるのであれば、刃物を使用する場合と比べて、捕獲者が動物に近づく際の危険を抑えられる場面もあるのではないかと考えています。
一方で、電気を流すことによって必ずしも出血や体内の変化がなくなるわけではありません。食肉として利用する場合には、衛生面や肉質、適切な放血、動物への苦痛、安全性などを総合的に考える必要があります。
「電気を使えば簡単」「血が出ないから汚れにくい」と単純に考えるのではなく、食肉として利用するために適切な方法なのか、専門的な知識を持つ人から学ぶことが必要だと感じました。
どのような方法を選ぶ場合でも、捕獲者自身の安全だけでなく、動物にできる限り苦痛を与えないこと、衛生的に処理すること、そして関係法令を守ることが重要です。
狩猟は捕獲するだけでは終わらない
今回、捕獲等の定義や半矢、追い出し猟、止めさしについて学び、狩猟にはさまざまな場面で法律や安全に関する判断が必要になることが分かりました。
鳥獣を捕獲するという一つの行為でも、使用する猟具や鳥獣の種類、場所、時期、捕獲後の対応によって、考え方や方法は大きく変わります。
特に半矢については、獲物を逃してしまったという結果だけでなく、その後の鳥獣や周囲の人にどのような危険が生じるのかまで考えなければなりません。
また、鳥獣の習性を利用した猟師の知恵であっても、法律で禁止されている区域や方法に関係する場合があります。経験や工夫を活かすことと、法令を守ることは、必ず両立させる必要があります。
狩猟は、鳥獣を捕まえる技術だけを学べばよいものではありません。
法律、安全管理、鳥獣の生態、捕獲後の処理、そして命を扱う責任。これらを総合的に学び、行動することが、狩猟者に求められる姿勢なのだと思います。
まとめ
今回は、狩猟に関するテキストを通して、次の内容を学びました。
- 実際に鳥獣を手に入れなくても、捕獲等に該当する場合がある
- 鳥獣を負傷させて逃してしまう「半矢」には、さまざまな危険がある
- 鳥獣保護区などから鳥獣を追い出して狩猟する行為は、違法となる場合がある
- 止めさしには、銃器や刃物など複数の方法がある
- 銃器による止めさしには、関係法令や安全上の条件がある
- 食肉として利用する場合は、安全性や衛生面、動物への苦痛も考える必要がある
狩猟について勉強すればするほど、単に獲物を捕まえるだけではなく、捕獲する前から捕獲した後まで、責任を持って行動することが大切だと感じます。
これからも知識と技術を身につけながら、安全で適正な狩猟について学んでいきたいと思います。

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